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地方公務員 非正規 冷遇続く 岐阜市営の競輪場、勤務日減で生活苦に:東京新聞 TOKYO Web

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 非正規の地方公務員「会計年度任用職員」を巡り、「雇い止め」や低水準の処遇などが問題となっている。岐阜市が運営する岐阜競輪場岐阜市東栄町)では、今春から市の都合で職員が大幅な収入減に迫られている。「官製ワーキングプア」との批判もあるこの制度に対し、有識者は「雇う側の言い分に従うしかない構造になっており、弱い立場に付け込んでいる」と批判する。 (中川耕平)

 「貯金を切り崩して何とか生活している。2週間分のシフトが半月前にならないと示されず、副業も難しい」。岐阜市内で本紙の取材に応じた職員は打ち明ける。原因は本年度から、市の都合で勤務日数が前年度比で月5日ほど減らされたこと。日給制のため、毎月の手取り額は10万円台まで落ち込んだ。

 同競輪場は、昨年度に実施した個人面談で、2023年度の勤務日数を減らすと約160人の全ての会計年度任用職員に通達。選手管理棟の改修工事を実施中で、場内でレースを開催していないことによる来場者数の急減を理由とする。一方、場外車券の発売は続きネットによる収入も好調で、1949年の開場以来、黒字経営が続く。

 本紙の取材に、ある職員は面談で具体的な勤務日数を提示されないまま、契約を更新するか判断するよう求められたと主張。4月の辞令交付の際にも、23年度内のさらなる勤務日数減の可能性が通告されたという。市側は出勤日数が月15日程度となる旨を提示したなどとして、いずれの事実関係も否定。一方で、職員が生活苦に陥っている状況には「重く受け止めている」と回答した。

 名古屋市熱田区社会保険労務士木村省吾さん(57)は「会計年度任用職員に対する同様の扱いは全国で起きているとみられ、氷山の一角だろう」と指摘。年度途中で労働者の不利益になるような契約内容の変更が一方的に行われたとすれば、任用に関する条例に抵触する恐れもあるとし、「労働者が雇う側の言い分に従う構造になっているのではないか」と指摘する。

◆手当不支給、任用打ち切り… 全国70万人 待遇に問題も

 近年、ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待、生活困窮者といった相談が増加する傾向にあり、地方公務員が担うべき業務は増えている。その一方、下支えとなる非正規職員と正規職員の待遇格差は大きい。総務省の2020年の調査では、全国の自治体で働く非正規公務員は約69万4千人で、うち9割が会計年度任用職員だ。

 20年春に新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令された際には、雇用側の都合で休まざるを得なかったのに休業手当を支給していないケースが相次ぎ問題となった。

 さらに、会計年度任用職員には、教員や図書館司書など資格が必要な職種も少なくない。今年6月には、福岡県小郡市の会計年度任用職員だった市内の女性が、一度は市が23年度も任用すると説明したのに、任用を打ち切られたとして、550万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁久留米支部に起こした。

 全国の図書館職員らでつくる日本図書館協会(東京)は6月、図書館で働く非正規職員の処遇改善を求める要望書を全国の自治体に送ったと公表。協会によると全国の公立図書館の職員の76%が非正規という。

<会計年度任用職員> 非正規の地方公務員の処遇を改善するためとして、2020年4月に導入された。それまで自治体ごとにばらばらだった任用方法や勤務条件を統一し、任用期間を最長1年に、ボーナスを支給できると定めた。一方で、公募制度を経て任用を繰り返す必要があり、自治体側の判断で再任用回数に上限が設けられるなどその立場は不安定さを増した。