岐阜市の生活保護行政に関し、市が相談者の申請する権利を侵害する「水際作戦」をしている疑いがあると県が監査で指摘していることを巡り、13日、市議会定例会一般質問で市の担当部長は「県の監査の指摘事項については重く受け止めている」と答え、適切な窓口対応のため職員に研修や指導を行ったと明らかにした。
岐阜新聞社が情報公開請求した監査資料によると、市は2021年度、延べ3104件の相談に対応。重複分を1件と数える「実件数」1907件のうち申請に至ったのは371件で、割合は19・5%だった。県内自治体で唯一、20%を下回るなど、県は「申請ができないと受け取られるような説明をしていることが疑われる」と指摘している。
田中成佳議員(健やか緑政)、原菜穂子議員(にじいろ)が質問。川瀬由紀子福祉部長は「『生活保護のてびき』を用いた丁寧な説明に努め、相談者の意思で申請するか決めることなどを指導した」と答えた。
一方、申請に至る割合が低い要因として、矯正施設入所者からの相談、保護の基準額を尋ねる電話、地域包括支援センターなどの関係部署からの問い合わせも件数に含めていることなどを挙げ「申請までの経緯を記録し、より一層、上席者と情報共有することで今後そのような疑念を抱かれないよう努める」と述べた。
県の担当者は取材に、「(それらを含めても)割合が低すぎる。そもそも、関係部署からの相談を件数に含める必要はない」と答えている。
市議会ではこのほか、市ホームページの生活保護制度の案内を一部変更したことが示された。従来は明記されていなかった、制度の根幹となる憲法25条を加えたほか、申請方法などをまとめた「生活保護のてびき」をダウンロードできるようにした。